微雅
第一章〜死舞〜
第五話


+五月十三日+
「よし、はじめるぞ」
 朝儀終了後、予告どおり抄基は恋の部屋に来ていた。
 今日はそれぞれが選んだ好きな分野を学ぶ日。
 とはいえ恋にはそんな余分なことを勉強する余裕はないので、いつも戦闘に関係の深いものを勉強していた。


「ねぇ啓魄もしかして知火も周知(他の世界の勉強)も許可待ちとかないよね?」
「……よく分かったな」
「うそ……じゃ、もしかして明日も?」
「来週一日目(五月十六日)には許可がおりるはずだから死舞までだな」
「死舞って」
「鍛錬場使える時間が少ないから、昨日やった法知の完成には今日明日あさっては必要だろ?
死舞の日には昼無理だし夜だけになるから復習しとけよ」
「生きてたらね」
「何言ってんだ、めずらしく弱気だな?」
「やっぱこの怪我だし」
「昨日はすぐ寝たんだろ?」
「うん」
「じゃあ大丈夫だ。なんだかんだいってお前結構体力あるから明日でなんとかなるだろ」
「そだね」
「そんじゃ、はじめるか」
 昨日と同じように昼に知識を詰め込んで夜は法知の実戦練習。
 そして翌十月十四日も同様。
 ただこの日は翌日に死舞があることを考慮し十時には部屋に戻っていた。
「ねぇ、今日はもう休んでいいの?」
「ああ、早めに寝な」
「啓魄は? 戻らないの?」
「とりあえず十一時まではここにいさせてもらうぜ」
「なんで?」
「いいだろ別に」
「そりゃ、悪いことはないけど……」
結局啓魄は十一時まで何をするでもなく恋の部屋にとどまり、時間になると静かに出て行った。
恋は抄基のことを気にしながらも翌日の死舞のために早めに寝た。