番外短編小説一
(また)恋が大怪我を負ってしまった。
その一部始終を見ていた抄基はとりあえず樟静を恋の部屋に呼ぶ。
樟静が部屋につく頃、恋と抄基は机をはさんで向かい合って、怪我の原因を追求していた。
現在樟静は恋の背側から治療、抄基は壁にもたれて恋の勉強しかけの本をパラパラと見ている。
場面は部屋内の沈黙に耐えられなくなった恋がむすっとしてもらす一言から。
朱臣 恋 「……頭痛い」
抄基 啓魄「……じゃあ寝てろ」
圭 樟静 「でしたら、抄基が自分の部屋に戻ってはどうでしょうか?」
抄基「そういう圭はどうなんだよ」
樟静「私はまだ恋さんの傷の手当てがありますので」
抄基「俺もまだ教える事がある」
樟静「頭痛をうったえる恋さんに何を教えると言うのですか」
抄基「圭こそ帰ったらどうだ?さっきから手が動いてねぇぞ」
樟静「私はどうすれば恋さんの症状が良くなるのか考えているのです。
ですから、はやく出て行ってください。迷惑です」
抄基「酷い物言いだな。とうとう本性が表れたか。
誰にでも優しく、信用されている実力派下人、圭 樟静」
樟静「それはこちらの台詞です。
随分むきになってどうしました?いつも冷静な歳長、抄基 啓魄」
抄基「それは圭だろ。俺はむきになっていない」
樟静「まったく幼稚な会話ですね。そんなこといって、私を怒らせたいのですか?」
抄基「そう思うならそうしろ。そうしたらすぐに部屋から追い出してやる」
恋 「……もうやめて」
樟静「そういうなら、恋さんもこれから気をつけてください。
怪我しすぎです。これでは恋さんの身が持ちません」
抄基「そういえばもとはといえば、また恋が怪我したから圭が来たんだよな。
恋もう怪我するな」
恋 「したくてしてる訳じゃない」
樟静「私を呼んだのは抄基でしょう。随分勝手ですね」
抄基「圭こそ勝手な行動してるだろ。
そろそろ仕事戻った方がいいんじゃないか」
樟静「たまの息抜きは必要です。抄基にそれをとやかく言う権利はありません」
恋 「そうだよ、せっかく樟静がわざわざ仕事抜けて来てくれたのに。
少し休んでいってもらわないと私が嫌だ」
抄基「休むのが駄目なんていってないだろう」
樟静「そのようにとれます」
恋 「啓魄こそ仕事はないの」
抄基「終らせた。それともここから出て行けと?」
樟静「抄基こそ、だれもそうは言っていませんよ」
恋 「っていうかここ私の部屋なんだけど」
抄基(樟静)「出て行こうか(出て行きましょうか)?」
恋 「……ううん。ずっといていいよ」
結局三人は仲良しなのです。
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