涼卦先輩

「涼卦先輩!」
憧れの人物を目の前にして、恋の顔に明るさが戻った。
「久しぶり。恋、ちゃんと勉強してたか?」
「…はい」
やや遅れて答えた恋に涼卦呆れたような視線を向けた。
「即答出来ないとはどうした」
「勉強は、したけど…」
恋の表情が少し曇った。
それを見て涼卦は恋の頭をくしゃくしゃと乱暴に撫でた。
そして、軽く笑顔を見せて、大丈夫だと呟いた。
それに心地よさを感じ、恋は安心したように息を吐いた。
兄弟のいない恋にとって涼卦は兄のような存在だった。