副歳長:周伯 航里
歳長室を訪れた周舶は目的の資料を手に持ったまま動こうとしない。
抄基はしばらくは無視して仕事をしていたが、相手に全く動きがないのでようやく口を開いた。
「なにかあったのか?」
「……実は、ね。今度の死舞で恋を狙おうと思うんだ」
「……そうか」
「それで……やっぱりいいや」
抄基が疑うような視線を送る。
「いい、何でもない。お仕事お疲れ様です」
周舶は元気に部屋を飛び出して行った。
(抄基は、私と恋どっちの方が強いと思う?)
さっき辛うじて飲み込んだ質問の答は、毎日その抄基を見ている周舶には予想が出来ていた。